「ただいま。」



家に入るとリビングから光が漏れていた。



僕は数ヶ月ぶりに兄貴と目を合わせて、言葉を告げた。




兄貴はサッカーの試合をテレビ観戦していたようだったけど、無言でテレビを消した。



途端にリビングに沈黙があふれた。




「僕、春華と付き合うことになった。」




「…で?」



「……ぜったい。」




ぜったい……



「絶対負けないから。兄貴なんかに譲らないから。」