近づいた彼女からはすこし、香水の香りがした。

甘い、甘い香り。

暗いから良く見えないけど、メイクもしてる気がする。



そして、白地に青の蝶が入った浴衣はとても春華に似合っていた。



少しは今日のこと楽しみにしてたって勘違いしてもいい?



「遅くなってごめんね。」



「裕くん、うろうろしてた。」


クスッと笑う彼女。

そんな些細なことでドキドキしとしまう僕は本当に末期だろう。



「な……気づいてたなら声かけてよ。」

ちょっと不機嫌な声をつくってみる。


「んー?面白かったから。それに…ちゃんと見つけて欲しかった。」



ああ、負けた。



どうして、彼女はこうやって無自覚に僕を揺さぶるのだろう?