事の発端は店長からの一本の内線電話だった。



「悪いんだけどさー、今日、休んじゃった子がいて。永井くん入れない?給料弾むから。」


僕はたまたま荻野たちとカラオケに居たから、店長もそれを知ってかけているのだろう。


多分、出たのが竹内だったら竹内に頼んだし、中島だったら中島に頼んだだけの話だろう。


「いいですよ。」


僕は時間を聞いて手短に内線を切った。


「裕ー、なんの話?」

「あー、僕、18:00からバイトになったから。」

「えー、なにそれ。」


「今日のバイト、人足りないんだって。」


「ふーん。」


荻野はどうでもよさそうに、というか始めからどうでも良かったのだろう、中島と竹内のデュエットに合わせてタンバリンを叩き始めた。