裕くんじゃない……

振り返った先に居たのは…


「春華…?」


心臓が、一瞬、止まったかと思った。


「陽……その……えっと、久しぶり。」


「ああ、久しぶり。」

彼と会うのは、そんなに、久しぶりでもない。

でも、当たり前だけど、別れてからは電話も毎日していたLINEもパタリとしなくなっていた。


なんとも言えない、沈黙が流れる。

私も、陽も、お互いをジッと見ていた。

彼の綺麗な目元にはクマが居座っていた。


それに気づいて、少し、どきりとした。
同時に罪悪感が押し寄せる。


さっきのは……聞かれただろうか?

“裕くん”

私が陽と別れた理由は好きな人が出来たからで。

でも、その好きな人のことは陽には誰か言ってない。

弟だなんて……

「少し……びっくりした。」

正直な感想を私が呟いたことで、会話が再開した。


どうして、朝こんな早くに居るの?


「俺も。」

はぁ、とため息を吐いて、陽が遊具にもたれた。