店を出てから、僕らは始終無言だった。



逆に、それがありがたかった。



ごめん、なんて春華に言われたら、それはそれで辛い。


駅前まで来たところで、彼女が口を開きかけたところで、僕が制するように言葉を発した。


「ごめん、今日、これから用事あるから……だから今日は…」


自分でも笑っちゃうくらい見え透いた嘘だった。


「うん、そっか。」


彼女の笑みがとても、乾いたように感じた。




いつかの放課後。
みんながカラオケに行く中、僕だけ残されて数学をやっていたとき。

教室に友達を探しに来た春華が残した、乾いたような笑い声。