【日曜日 AM9時】
(うん、今日も完璧。)
ばっちりと大人の女性に扮した私は鏡の前でポーズを決める。
「姉ちゃん」
「ん、どうしたの晶人」
「食器洗っといたから……出掛けるの?」
「ありがとう。うん、ちょっと買い物行ってくるよ」
「俺ももうちょっとしたら出るから、鍵はポストの中いれとく」
「はいはーい。今日の夕飯は晶人の好きなオムライスだよ」
「別に俺の好きなもの作らなくていいのに……」
「私も好きだからいいでしょー。じゃあいってくるから!」
まだ何か言いたげな弟だったが、そろそろ行かないとあの人の乗る10時の電車に間に合わない。
「あ……!」
そうだ、忘れるところだった。
「お父さん、お母さん、行ってきます」
私は写真の中でそれぞれ微笑む両親に声をかけ、家を出た。