アタフタと扉に向かおうとした世那の左肩を右手で押さえて、左手は世那のアゴへ添える。


「り、き………」


「…………」


目を閉じて、段々世那に顔を近づけると――――…


「あああっ!!」


「!?あっ……待てコラ世那っ!」


急に叫ばれた拍子にうっかり右手の力を抜いてしまい、世那の逃亡を許してしまった。


慌てて追いかけるも、オレが扉の所まで行った時には、すでに世那は遥か遠くを猛ダッシュ。


「チクショー……あんな手にやられるなんて、オレもまだまだだな……」


前髪をクシャリと掻き上げて呟いた。