アンドロイドと愛を学ぶ

 ラバーズランドに最後にきたのはもう10年も前のことだ。

当然のように、記憶していたものからいろいろと変化していた。

前はメルヘンチックな感じだった気がしたけれど、今はすっかり近代化的な雰囲気になっている。


「ずいぶん変わったね、ここも」


「そうだな」


「東は最後にここに来たのっていつ?」


「半年前かな」

 
「えっ、結構最近じゃない」


「ああ。ここはうちの会社とも連携を組んでいるからな。その関係で」


ー…なるほど


「あの入場の受け付けにいる人って、もしかしてアンドロイド?」


「ああ、一世代前の型だ」


「へぇ……この間のウェイターに比べると人間との差はわかりやすいけど、それでもすごく
精巧にできてるね」

「まあ、パッと見ではアンドロイドだとはわからないだろうな」


「前は受け付けも、人間がやってたのになあ……」


よくよく見渡してみると、ちらほらアンドロイドらしき従業員の姿が見受けられる。

何だか時代の流れをひしひしと実感した。

人間とアンドロイドが日常生活で共存するようになったのは、私達が生まれる前からすでに始まっていたことだ。

けれどここ10数年のうちで、急激にマシン化に拍車がかかったような気がする。


それを良く思わない人もやっぱりいるみたいで、アンドロイドの撲滅を唱える人の声も目立ってきている。


不意に、前にならんでいた人が入場ゲートの前で不自然に止まった。


「お客様、チケットを所定の場所にかざして下さい」

「はぁ?今やっただろうが」


「確認できておりません。それではこちらに直接提示してください」


「かざしたって言ってるだろうが。いいから通せよ」


「チケットの提示が確認できない限り、ゲートを開くことはできません。チケットを提示して下さい」


「うるせー。お前が故障してるだけなんじゃねぇの?」


「チケットを提示して下さい」


「それしか言えねーのかよ。これだからロボットはよー。脳みそ鉄くずだからしょうがねーか」


「チケットを提示して下さい」


「はいはい、ほらよ。これでいいかよ」


「確認できました。お通り下さい」


「…………」


いるんだようなぁ……こういう人。
アンドロイドってだけで、わざと突っかかるようなことをするんだよね……。


「おい、凪。ボーッとしてないで通れよ」



「あっ、うん。……あ、琥珀、ほら、チケット」


「…………」


「琥珀?」


「あ、す、すまん。どうした?」


「チケット。私が持ってたから、渡すよ」



「あぁ、ありがとう」