あれから、散々押し問答をくりかえして、メンズ店とレディース店を何度も往復しながらも。何とか琥珀の服を買うことができた。
少し奮発してしまったけれど、後悔はしていない。
「いらなかった……あー…1ヶ月分の食費を……」
「もう買っちゃったんだから、グチグチ言わないの」
「何もあんなに高いものを買うこともないだろう。俺の着るものごときで……」
「だって、一番琥珀に似合うと思ったんだもん」
「分からん……俺は凪の服を買いたかった」
「いいの。私は琥珀の服を買って満足してるから 」
「…むぅ……。まあ、凪がいいならいい」
「ねえねえ。それよりもさ、さっき服買ったお店で、こんなのもらったんだけど」
「……これは、福引きチケットか?」
「うん。今、ちょうどやってるみたい。二枚貰ったから、やりにいこうよ」
そうして私たちは長々といすわっていた洋服屋を後にした。

