黒い手が迫ってくる。
だが、直前でレイディーの蹴りが手に直撃した。その手は悲惨な音をあげ、潰れる。思わず顔をしかめた私に、レイディーは微笑んで言う。
「ーーーまだ、慣れていないからね。苦しかったら、目を閉じていていいよ。」
大丈夫。
小さく伝え、黒い化け物を見据えた。
私が逃げたら駄目だ。
レイディー一人に背負わせては。

「ありがとう。じゃあ、オレも頑張るね。」

頭上からそんな声が聞こえた。よく通る声。
ーーーー刹那。

レイディーが消え、気がつけば黒い化け物の前に立っていた。
あ、危ない・・・・・・!