ーーーー非日常。まさか、そんなものが実際にやって来るとは。



化け物、とはああいうものを言うのだろう。四肢が曲がり、黒ずんだ四つん這いの生物。いや、あれを生物と言えるのか。

爆音に紛れてやって来たモノは、ギョロリと目玉を動かし、こちらを見上げている。な、なんなんだ、アレはーー。

「ーーーアレは、戦うべき相手だよ。」

戦うべき相手?なら、アレの正体は?

「知ったらきっと、君は戦えなくなる。」
私が戦えなくなる、だって?意味がわからない。今でも、アレが怖くて足がすくんでいるというのに。

「大丈夫。」

レイディーが、私の前にたった。片足を一歩だし、手を横に出す。
まるで、私を守っているみたいに。

「ーーーオレが、ついてる。」



震えが止まった。今までの感情が嘘のように、安心している。レイディーがいる。私を守ってくれている。それだけで、世界の色が変わった気がした。
「さあ、いくよ。」
柔らかい声。
私を信頼している声。

私は、それに応えなければいけない。

「うんーーーいこう。」

すんなりと声になった言葉を合図に、レイディーが一歩を踏み出した。