私は、忘れてしまったのだ。何を?
わからない。矛盾しているのは、わかっているのに。思い出せない。


「ーーーー椿ちゃん。」

気がつけば、レイディーの顔が目の前にあった。驚きと恥ずかしさに思わず悲鳴をあげる。
「えっ!?ごめん、大丈夫?」
だ、大丈夫です。
無理に取り繕ったが、ばれてはいない・・・はず!


「・・・・・・ーーーーーー。」


ふいに、レイディーが纏う空気が冷え込んだ気がした。怒らせてしまったのか。


「ーーー来るよ。」




何が?と問う声は、音にならなかった。