「赤髪の悪魔、ですか?」

私が目を覚ました家の近所のおばさんが、そんな話を持ちかけてきた。

「そうなのよ、ここ最近、赤髪の悪魔って呼ばれる殺人鬼がこの町にきたらしくて。椿ちゃんも、気を付けてね。」

ありがとうございます、とお礼を述べ、家に戻る。殺人鬼といっても、レイディーがいれば大丈夫だと思う。
少し不安が残るが、とにかくご飯の準備をしなくては。

「ただいま。」

ーーーーーー返事が、ない。
唐突に、悪寒に襲われる。
なにかが危険だ。そう判断して、レイディーの名を叫んだ。

「レイディー!いたら返事をして!」

やはり返事はない。レイディーがどこかへ行ってしまった。
ーーー否。
私が、どこかに来てしまった。