大嫌いなアイツの彼女になりました。






「うーん、まかせるよ」


 パンフレットを眺めながらそう言うと、望月相馬はパンフレットに載っているある乗り物の写真を指差した。



「じゃあ、これ乗ろうよ」

 笑顔で望月相馬が指差したのは、この遊園地名物のジェットコースター。


 確かすごい速くて高さも長さもある。

 一回転もするんだっけ。



「……嫌?」

 何も言えず黙り込んでいると、望月相馬が心配そうにあたしの顔を覗きこんでくる。


「ううんっ!いいよ、行こう!」

 あまりにも近い距離に望月相馬の顔があったため、それを避けるように反射的にそう返答していた。



「やった♪あ、結構近いね」

 パンフレットに載っている地図を見ながら楽しそうにそう言う望月相馬を見ながら、しまったと今更になって後悔する。



 あたしはジェットコースターが大の苦手。

 遊園地に来ても絶対に乗らないくらいだ。


 上るときのドキドキ感も、落ちた時の浮遊感も、ハイスピードで走るのも、怖すぎる。

 急にスピード上げたりいきなりスピードが落ちたり、なんなのって思う。


 そんな子供用のジェットコースターすら乗れないあたしに、一回転をするジェットコースターはレベルが高すぎる。

 だからそれに乗ろうと言われた時、固まってしまったのだ。


 ああ、断りたい。

 出来るなら、望月相馬だけに乗ってもらいたい。


 だけど、承諾してしまった手前、断るなんて出来ない。


 この遊園地の名物だからか、ジェットコースターには長い行列が出来ていた。

 人が少なかったら少しの我慢だけど、中々乗れないから怖さも倍増する。