大嫌いなアイツの彼女になりました。







 そして握ったあたしの右手を自分の顔の前まで持ち上げ、

「迷子にならないようにね」

 と意地悪そうに言った。




 ー-ドキッ


 心臓が大きな音を立てる。

 それは、望月相馬に聴こえてるんじゃないかと思うほど大きくて。


 そして一気に顔に熱が上がってくるのが分かった。


 そんな顔を隠すように下を向いた時、

「あっ、開いた!行こう、純香ちゃんっ」


 開園時刻になり、しまっていた門が開かれた。



 皆が一斉に走り出して、後ろからすごい力で背中を押される。

 望月相馬もまた、負けじと走り出す。


 本当は恥ずかしくてとてもハイテンションで走ることなんて出来ないんだけど、手を握られているしこのまま突っ立っているのも他の人の迷惑になりあたし自身も危ない。


 あたしは人の流れに呑まれるように、望月相馬に少し引っ張られながら走り出した。
















「よっしゃー!何乗るー?」

 少し走って人波も落ち着いた所で立ち止まったあたし達は早速、待っている間にカタログスタンドから取った遊園地のことが色々書かれているパンフレットを広げた。



 パンフレットには、この遊園地で一番人気のアトラクションの写真が大きく載っている。

 他のページには新しく出来たアトラクションや他のアトラクション。

 更に、美味しそうなご飯やお土産屋さんも載っている。

 そして最後のページには遊園地の地図が。