まあ、どうやら純香ちゃんは友達に言われたからそう言ったみたいなんだけど。
上手く誤魔化せたし、賢いくせに妙に鈍感で馬鹿な純香ちゃんにこれから気を張る必要はなさそうだ。
……それよりも、問題は純香ちゃんの友達の方。
あの様子からして、純香ちゃんはかなりその友達を信頼していそうだ。
純香ちゃんは純粋馬鹿なのに、厄介な友達だ、全く。
気を張らなきゃいけないのは、その友達の方だな。
ふぅ……とため息を吐くと、俺はやっと着いたB組のドアを開けた。
「おーい、相馬」
俺が一言そう言っただけで、教室がシン……と静まる。
もしかしたら、この見た目のせいかも。
だからと言って、他人からの視線のために自分の好きなことを止めるつもりは微塵もないけど。
俺は優しいお兄さんキャラを作っているけれど、優等生になるつもりはない。
いや、なろうと思ったら優等生にもなれたんだけど、ピアスが好きだから付けていたら〝ヤンキー〟と呼ばれるようになってしまったから止めたって所かな。
「おお!直樹ーっ」
俺が呼んだからか教室が静まったからか、相馬は俺の存在に気付き、こちらの方に足を向ける。
そして俺の前まで来た相馬を、俺は無理やり引っ張って教室の外に連れ出した。
「わっ、どうしたんだよ」
「お前さ、純香ちゃんの誕生日知ってる?」



