大嫌いなアイツの彼女になりました。







「……?どうしたの?」

 中川くんは不思議そうに首を傾げる。




「ね、ねえ……中川くんは本当に優しい人、なんだよね?」

 自然と、口から漏れていた。



「え……?」


「……あっ、ごめん」


 だけど、一瞬だけ中川くんから笑顔が消えたのを見て我に返り、そう言うとあたしは中川くんから顔を背けた。




 なに、聞いてるんだろう……。

 失礼じゃん、こんなこと聞くの。


 そう、自分の馬鹿さに呆れていると、

「……どうして、そう思ったの?」

 中川くんがそう低い声で訊ねてきた。


 なんて言ったらいいのか分からなくて言葉を詰まらせていると、

「………純香ちゃん」

 そう、また低い声で中川くんに名前を呼ばれ、あたしはゆっくりと重い口を開く。




「……友達に中川くんのこと話したら、裏があるとか言われた、から」


「裏?」


「うん、怪しいって……でもその子別の高校だし、中川くんのこと知らないし、そんなことないってあたしは信じてるからっ……」


 そう言いながら顔を上げて中川くんを見たら、中川くんは考え込むように腕を組んでいた。


 だけどあたしの顔を見ると、ニコッと笑って、

「大丈夫、俺あんま嘘つけないタイプだから」

 と言った。