大嫌いなアイツの彼女になりました。








 そんな言葉が耳に入って、驚いたあたしは顔を跳ね上げた。

 視界に入った中川くんの顔は、いつも通りの優しい笑顔で。

 でもさっき、爆弾発言したよね?



 動揺しながらも、ゆっくりと声を出す。

「か、可愛い……?」


「うん、可愛い」


「っ!?」



 に、二回も言われた……なんて、自分で聞いときながら呆然としていると、

「だってさ、彼氏に誕生日だからデートして!も言えないんだよ?純情っていうか、恥ずかしがり屋さんっていうか……なんか、新鮮」

 中川くんはそう言って、優しい笑みを見せた。


 なのにその笑みが意地悪に見えてしまうのは、気のせいだろうか。



「か、からかってる?」


「まさか。ただ俺の周りにそんな子いないから、カルチャーショックを受けてるだけだよ」


「それ、絶対からかってるでしょ」


「ははっ」


「ああ、今笑ったー!」


 中川くんはやっぱりあたしをからかっていたようだ。


 頬を膨らませて怒っていると、中川くんがあたしの頭の上に手を乗せた。

 突然の出来事に目を見開いた。



「あ、えーっと……?」

 その状態のまま引きつった笑顔で中川くんに話しかける。


「ああ、ごめん。純香ちゃんが可愛すぎて、つい」