大嫌いなアイツの彼女になりました。





「さあ?どうだか。純香は本当、馬鹿みたいに人の良い所だけしか見ないから」


「そう言うみおだって、人の悪い所ばっか見るじゃん!」


「あたしは総合的観点から見てるの。あたしの経験上、ずっと笑ってる奴は裏の顔を持ってるんだよ」


「うぅ……でも、本当にいい人だったもん」



 確かにみおは、人を見る目が優れている。


 今までみおが悪いと言う人は大体、いい人に見えても実は性格がすごく悪かったりあたしと合わなかったりした。

 また、みんなに嫌われていてもみおがいい人だと言う人は、話してみると本当にいい人だったこともある。



 けれど、あたしは中川くんが悪い人だと到底思えないんだ。



「……まあ、あたしはその子と会ったことがないから、あくまで予想だけど。決めるのは純香だし。あんたがいい人だと思うならそうなんじゃない?でも、だからと言って完全に信頼しちゃダメだよ。関わり始めたばっかなんでしょ?」


「うん………」


 あたしは俯く。


 みおはそんなあたしをじっと見つめた後、徐に立ち上がる。

 あたしはどうしたのかなと思って、顔を上げてみおを見つめた。


 そんなあたしにみおは、

「……じゃあその子に明日、頼まないとね」

 と言ってあたしに微笑みかけた。


「……うんっ」

 あたしは嬉しくなって、みおに満面の笑みを見せた。


 みおはいつも厳しいことを言うけど、それはあたしを思うからこそだ。

 そんなみおの優しさに、あたしの心は温かくなっていった・・・