「じゃ、じゃあなんで……」
あたしがヤンキーを嫌っていることを知っているからか、みおは心底不思議そうにそう尋ねた。
「へへっ」
あたしはそんなみおにピースサインをして、満面の笑みを見せる。
あたしがどうしてこんなに乗り気なのか。
それは、結構単純な理由。
さっき頭の中に浮かんだ〝ある考え〟というのは、中川くんのこと。
中川くんは望月相馬と仲が良いし、見た目は恐いけど実際はとても優しい人だった。
ヤンキーは苦手だけど、中川くんなら緊張しないで頼める。
たった一日だけど、あたしはすっかり信頼してしまったようだ。
だから、席も隣同士だし、気兼ねなく頼めると思ったんだ。
「あのね、今日席替えがあったんだけど……隣の席の子が望月相馬の友達だったんだ。」
「うん」
「でもその子、とっても優しいの!ずっと笑顔だし、見た目はちょっと…だけど、口調も優しいんだよ!めっちゃ親近感持てるの」
最高なんだよーっと思い出してニヤけていると、みおはそんなあたしを機嫌そうに見つめた。
「……はぁ、これだから純香は。騙されやす過ぎ」
「えっ?」
みおはため息を一つ吐き髪を掻き上げた後、
「あっやしー……。絶対そいつ裏があるね!断言できる」
何度も頷きながらそう言った。
あたしはみおの言葉に少しイラッときて、
「なっ、本当にいい人だったもん!」



