あたしはぎゅっと拳に力を入れた。
……もう、無理なのかも。
〝あんな奴〟だとしても、少しは助けてもらえると期待した自分が馬鹿だった。
大体、アイツが助けてくれるわけない。
むしろ、アイツが主犯者だったんだから。
「じゃあ……」
男達の中の一人がそう言ってドアを閉めようとした時だった。
「あー、店員さん。注文あるんで、来てもらえますか?」
彼はそう言って、ニコッと笑った。
「え……」
「おい、そんなの電話で言えばいいだろ。」
男が怒り気味にそう言う。
「なんで?俺は、この子が可愛いからこの子にお願いしてるんだけど?あ、それともあんたらもこの子目当て?だからホテルなんて誘ってんの?」
「なっ……」
彼は微笑みながらもきつく男を睨む。
あたしはただ、驚いて彼を見つめるだけ。
気づいて、た?
なんで?どうして?
ていうか、なんで助けようとしているの?
あんたって、そういう奴じゃないでしょう?
「てめっ、喧嘩売ってんのか!」
「売ってんのはお前らだろ?男3人でか弱い女の子脅してさ、情けねぇ」



