少し、そんな自分に呆れる。
「……それから、純香ちゃんと一緒にいて、毎日楽しかったよ。苦い思い出が、消えて行った気がした。……例え、嘘で固められた関係だったとしても」
望月相馬の声が、ほんの少し低くなる。
「っ………ごめん」
「えっ?あ、いや、純香ちゃんのことじゃなくて……俺のことだよ。……ずっと嘘吐いてたから」
「それでも……あたしだって、嘘吐いてた」
あたし達は、二人とも嘘吐きだった。
あの時すれ違ってしまったのをやり直すために再会したのだとしたら、あたし達はやり直さなくちゃいけなかったのに。
また、あたし達はすれ違ってしまっていたようだ。
やり直しているフリだけして、本当の意味でやり直すことは出来ていなかった。
お互いが別々の想いを抱えて、恋人の〝フリ〟をしていたようだ。
「……純香ちゃんといられて幸せだったけど、同時に嘘を吐いてる自分が嫌いになった。胸が、痛かった。」
「……それ、分かるなぁ」
あんなに笑い合っていたのに、二人とも胸を痛めていた……なんて。
望月相馬はくすっと笑う。
「なんだか俺ら、似てるね?お互い嘘吐きで、しかも自分が嘘吐いときながら胸痛めてさ。」
あたしもふふっと笑う。
「本当だね、そっくりだ」
「意外と、お似合いなのかも」
「何言ってるの?」
あたしはくすくす、肩を震わせる。



