「もしかして、あの時も……」
「そう、失敗しちゃった」
望月相馬は苦笑いを見せる。
小学五年生の時に散々後悔したのに、再会した時も上手く出来ないなんて……どんだけ不器用なのだろう。
あたしは可笑しくて、つい笑ってしまう。
「ちょ、笑わないでよ」
「ごめん、ごめん」
「もう……」
そう頬を膨らませている望月相馬も、どこか笑顔だ。
「……けど、そっちの方がやり直せるかもって思ったのも、ある」
「へっ?どういうこと?」
やり直せるって、何を?
「何も知らないフリをしておけば、純香ちゃんと一緒にいられるかもって思ったんだ。あの苦い思い出を、もう一度やり直したかった。思い出を、塗り替えたかったんだ」
「………なにそれ、ズルい」
「うん……知ってる」
そんなことしなくても、本当のこと全部言ってくれれば、きっと許していただろうに。
「……純香ちゃんはそんな俺と付き合うって言ってくれた。俺に何かする気だなっていうのはすぐに分かった。けど、それさえも好都合だと思った。だって、目的達成するまで俺と一緒にいてくれるでしょ?」
望月相馬はそう言った後、少し悲しそうな表情を作る。
「…………。」
あたしって、どんだけ分かりやすいんだろう?
中川くんにも見抜かれてたし……。



