「あの頃の俺は、純香ちゃんといると嬉しくて、ついからかっちゃってたし、人前に出てて恥ずかしそうな純香ちゃんを励ましたくて、けど上手く言えなくて、色々野次みたいなの飛ばしちゃってたし、二組の高梨に告られた時なんか、焦って最低なこと言っちゃったし……散々だった」
あたしの中にあった嫌な思い出。
全部、すーって消えて無くなっていくのを感じた。
望月相馬があたしをいっぱいからかったのは、あたしと一緒にいれて嬉しかったから。
発表の時に飛ばしていた野次は、あたしを励ますため。
『そんなの遊びに決まってるだろ。お前なんかに誰が本気になるんだよ』って言ったのは、あたしが告白されて焦っていたから。
全部、嫌味なんて詰まっていなかったんだ。
「しかも、最後まで……。終業式の前日、このままじゃ嫌だって思って純香ちゃんに告白した」
「うん、そうだったね……」
けどあの時確か、あたしは賭けに使われていただけだった。
それが、一番嫌だった。
復讐した理由だって、きっとそのことにショックを受けたのが大半だったと思う。
「けど、あれは失敗だったな。告るって友達に言ったせいで、勝手に賭けに使われていたみたいで……」
「えっ…………」
あたしは少し驚く。
あれは、望月相馬が仕込んだことじゃなかったんだ。
あたしだけじゃない。望月相馬の告白自体が賭けに使われていたんだ。
「いきなり草陰から出てくるし、純香ちゃんの前で賭けの話をするし……」



