「一目見ただけで、気付いたよ。純香ちゃんだ……って」
「えっ……覚えてたの?あたしのこと」
あたしがそう聞くと、望月相馬はははっと笑った。
「もちろん。忘れるわけないよ、初恋の人なんだから」
「えっ……?」
初恋の、人?
あたしが?
「覚えてる?小学五年生の頃のこと」
「覚えてるよ、そりゃ。だってあの時……」
小学五年生の頃と言えば、あたしが望月相馬にいじめられていた頃だ。
復讐すると決めた理由もそれだったし。
「……小学四年生までは、ただ単に一緒にいて楽しいだとか気になるなーだとか、そんな単純な気持ちだった。でも、五年になってから、純香ちゃんに対する気持ちが変わったんだ。」
「…………。」
「本気で、好きだと思った。きちんと純香ちゃんを女として意識するようになった。そしたら、一気にどうしたらいいのか分かんなくなって……」
「……それで、あんなことを?」
だからあたしをいじめたって言うの?
「……今思うと、あの頃の自分は本当に馬鹿だったと思う。ごめんね……」
「そう、だったんだ」
あれは、ただのいじめじゃなかった。
あたしのことを好きだった望月相馬が、上手くアピール出来なくてしてしまったことだった。



