大嫌いなアイツの彼女になりました。






 望月相馬はそう言うと、またあたしを抱きしめる腕に力を込めた。





「……純香ちゃんが、俺に復讐するために付き合ったこと」


 小さな声なのにはっきりと耳に入ってきたその言葉に、あたしは目を見開く。





「ど、どういうこと……?」


「再会した日のこと、覚えてる?」


「え、うん……」

 望月相馬は小さく息を吸う。



「俺の話、最後まで聞いてね」

 そしてそう言うと、望月相馬はあたしが知らなかった〝真実〟を語り出す。






「あの日は普通に直樹といっぱい歌う気でカラオケ店に来てた。直樹とギャーギャー言いながら、自分たちのカラオケルームに向かっていた」


「うん」


「その時偶然通りかかった部屋から、声がしたんだ」


「うん」


「何か言い合ってる声でさ、気になった俺と直樹は外からその部屋をそっと覗いた」


「うん……」



 その時望月相馬が見たのが、

「そこには男が三人と店員さんがいて、その店員さんの顔を見た瞬間、驚いた」


 あたし、だったんだ。