大嫌いなアイツの彼女になりました。










 どれだけの間そうしていただろうか。


 しばらくして、望月相馬はキスするのを止め、あたしの頭と右手首を押さえ付けていた手を離した。




「はあっ………」

 あたしは一気に息を吐き、呼吸を整える。


 やっとまともに息が吸える。

 まだボケている頭でそう安堵したのも、つかの間。




「………わっ」

 今度は望月相馬に抱きしめられる。



「え、ちょっ……」

 動揺するあたしを、望月相馬はぎゅっと強く抱きしめる。



「っ……!」

 あたしはその時聞こえた小さな声に驚き、黙り込んだ。


 今、「大好き」って言った……?







「……純香ちゃん」


「…………。」


 またあたしの名前を呼んだ望月相馬の声は、酷く震えていた。





「俺ね、知ってたんだ。本当は」