大嫌いなアイツの彼女になりました。







「純香、ちゃん………」


「っ………」


 あたしを見つめる望月相馬の瞳はあまりに悲しそうで、あたしはつい目を逸らす。




「……は、入ってもいい?」


 望月相馬はそう聞いてくる。

 あたしは小さく頷くと、ソファに座り直した。


 望月相馬もカラオケルームに入ってきて、あたしの隣に座った。





「…………。」


「…………。」


 ……気まずい。

 ものすごく。



「純香、ちゃん……」

 望月相馬はあたしの名前を呼ぶと、あたしの頬にそっと触れた。


 ビクッと、あたしの肩が揺れる。

 そしてあたしは、顔を背けた。


 触れていた望月相馬の手は、それによってあたしから離れる。




「どうして……どうして、そんなことするの?」

 あたしは小さな声を絞り出した。



「え……?」


 望月相馬は不思議そうに首を傾げる。

 あたしは唇をグッと噛み締めた。