大嫌いなアイツの彼女になりました。







 二人で色んな事語り合った。


 自分を作る辛さや、上手く自分を出せない苦しさ。

 沢山語り合って、最後は二人とも涙目だった。



 ……ごめんな、相馬。

 そんな、俺の唯一の理解者であり大切な友達でもあるお前に俺、酷いことしちゃったな。




「あとで謝ろうっと……」


 柄じゃねえけどな……。

 少し恥ずかしくなって独り、俯く。





 ……けど、やっぱり俺の人を見る目は良かったようだ。



 いつぶりだろう?フラれたって言うのに、こんなに温かい気持ちになれたのは。

 演技なんかじゃない。作ってなんかいない。心の底から、他人の幸せを願っている。



「ふっ」

 俺は笑みを溢す。


 どうやら俺は、純香ちゃんと相馬の綺麗さに影響されてしまったらしい。


 でも、なんて気持ち良いのだろう。

 たまには綺麗な人間になるのも良いかな?



「………お幸せに」

 そう呟いてから、俺は心の中で相馬と純香ちゃんに「ありがとう」と言った。




「……あれっ?先輩の彼氏さんじゃないですか」

 後ろから声を掛けられる。

 そこには、受付をしていた純香ちゃんのバイトの後輩の子がドリンクが乗ったおぼんを持って立っていた。



「どーも。けど俺、純香ちゃんの彼氏じゃないよ」


「えっ!そうなんすか?」