大嫌いなアイツの彼女になりました。








 俺はふっと笑う。







 ……昔から、俺はこんな性格だった。




 計算高くて、人よりも頭が冴えていたから人を動かすのも簡単だった。

 そんな俺をどう勘違いしたのか、周りの奴らはみんな俺のことを〝大人〟と言った。


 はっきり言って俺だってそんな大人じゃないけど、違うなんて言えなくて、俺は猫を被った。

 無理に作った余裕に、女子は「大人っぽーい」だとか「カッコいいー」だとか言って頬を赤らめた。


 猫を被ったおかげで俺がモテるようになったのは、言うまでもない。

 しかし、そのせいでストレスが溜まりに溜まって、こんなひねくれた性格になってしまった。



 優しくて笑顔で、いつも余裕で。

 そんな自分を作っている自分が、大嫌いだった。

 みんな簡単に騙せてしまうから、俺は誰も信じられなくなった。

 そんな自分も、大嫌いだった。

 何事も酷く冷静に見てしまう自分も、誰かの幸せを願えない自分も、本気になったり必死になったり出来ない自分も、感情をコントロール出来てしまう自分も、

 全部全部、大嫌いだった。



 ……だから、純香ちゃんに変えて欲しかったのかもしれない。

 純香ちゃんといると、自分まで綺麗な人間になった気分になれたから。


 相馬だって、俺の性格を唯一見抜いた人間だ。

 そして、それでも俺から離れないでいてくれる人間だ。


 中学校で出会って仲良くなった時、アイツは俺の性格を見抜いて、「昔の俺と似てる」って言った。

 あの時のこと、俺は今もはっきりと覚えている。