「ガチャッ」
純香ちゃんが帰って来た。
……俺に、賭けてやる。
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「……でも結局、俺の負けだった。」
賭けは見事な完敗。
恥ずかしいな、俺。
だって純香ちゃん、最悪なことに相馬の名前呼んじゃったし。
……まあ、分かってたけどね。
二人がずっと両思いだったこと。
なのに、二人ともそれに気付かないフリしてんだもん。
いじらしくて、仕方なかった。
二人が再会したあの日、俺も純香ちゃんに恋に落ちた。
学年一の成績。可愛くて、穢れなんてものとは無関係な世界で生きているように見えた、純香ちゃん。
最初は遠い世界に生きている、どちらかと言えば苦手なタイプだった。
でもあの日、相馬に微笑んでいた純香ちゃんの顔は憎しみに包まれていて、明らかに何かを企んでいるように見えた。
その時、「ああ、俺と同じなんだ」って思ったんだ。
遠い世界なんかで生きていなかった。
そう勝手に親近感を持って、勝手に好きになった。



