だから、自分に賭けてみることにした。
そして、その様子を相馬にも見てもらう。
もし上手くいった場合、相馬が諦めてくれないと困るから。
いや、もしかしたら俺は、相馬に見せつけたかったのかもしれない。
ずっと、幸せそうな顔をして純香ちゃんの隣にいた、生意気なアイツに。
俺と同じで嘘吐きなくせに、純香ちゃんの隣にいられるアイツに。
ズルくて卑怯な相馬を、地獄の底に叩きつけたかったのかもしれない。
「………はい」
失恋のショックか、相馬の声はとても小さく情けなかった。
「……失恋中のお前に、良いこと教えてやるよ。」
「うっせーよ……で、何?」
相馬は、はっと軽く笑う。
俺はニヤッと微笑む。
「今ねー、俺純香ちゃんとカラオケ来てるんだー」
「…………はあ!?」
相馬の驚いたような大声に、俺はつい携帯を耳から離す。
「うるせえよ」
「ど、どういうことだよ!な、何もしてねえだろうな!!」
相馬の声が震える。
……はぁ。
心の中でため息を吐く。
どんだけ好きなんだよ。
……もう、諦めてくれよ。



