~直樹side~
「……ったく、奪っちゃえば良かったのにさ」
俺はカラオケ店を出ようと、受付までの廊下を歩く。
どこまでお人好しなんだ、俺は。
本当は、こんな性格じゃないのに。
「……きっと、これも」
俺はふっと笑って、髪をぐしゃっと握った。
純香ちゃんのせい、なんだろうな。
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「……あ、あたしジュース無くなったから取ってくる!」
純香ちゃんはそう言うと、カラオケルームから出て行った。
俺はそれを確認すると、流れ出した歌を消してポケットから携帯を取り出す。
そして、俺は相馬に電話を掛ける。
……ほんの少し、期待していたんだ。
そんなことないって、分かっていたけど。
もし、純香ちゃんが少しでも俺のことを意識してくれているなら。
もしかしたら、落とせるかもしれないって。



