大嫌いなアイツの彼女になりました。








「えっ……?」

 あたしは中川くんの方を見て、首を傾げる。


 中川くんはあたしの手首を掴んだまま、俯いている。

 珍しく、中川くんの顔から笑みが消えている。


 どうしたんだろう?

 気になったあたしは、中川くんの顔を覗き込むように顔を近づけて、名前を呼んでみる。



「な、中川くん……?」


「………っ」


 すると中川くんは、あたしの手首を離し、今度はあたしの肩を強く押した。



「わっ……!」

 あたしは当然、ソファに倒れ込む。






「…え、ちょ……どうしたの?」


 そんなあたしの上に馬乗りになってじっとあたしを見つめている中川くん。


 中川くんの表情は、冷たく感じるのにどこか切なげだ。

 そんな中川くんに不安を覚えるが、同時に恐怖も感じる。


 あたしもじっと中川くんを見つめる。




「………純香ちゃん」


「えっ、は、はい」


 しばらくそのままの状態で見つめ合っていると、急に中川くんはあたしの名前を呼んだ。