……日曜日。
あたしは駅前で一人、中川くんを待っていた。
今日はカラオケデートの予定だ。
何を勘違いしているのか、望月相馬と別れて落ち込んでいるであろうあたしのためにと、中川くんが提案してくれたのだ。
現在、十二時五十五分。
待ち合わせは十三時だから、まだ少し時間がある。
近くにある時計を眺めていると、
「ごめん、純香ちゃん。待った?」
中川くんがあたしに手を振りながら近付いて来る。
「あ、中川くん」
あたしは笑顔で手を振り返す。
中川くんは、白い英字のTシャツに赤のカーディガンを羽織り下はジーンズというシンプルな服装だ。
でも、首にかけている大きなドクロのネックレスと耳に付けているピアス、茶色の髪はやっぱり派手な人なんだなと感じさせる。
でもそれが彼の良さを引き立てていて、中川くんとすれ違う女性は全員振り返っていた。
……こんな人と隣を歩くのか、あたし。
まあ、望月相馬も負けず劣らずだったけどね。
……って、またアイツのことだ。
あたしはアイツのことを忘れるように、頭を横に振った。
「どうしたの、純香ちゃん」
そんなあたしを見て不思議そうに首を傾げる中川くん。