「………なに、これ」


 朝、教室に入ったあたしは、自分の机の中に入っていた一通の手紙に驚く。

 封筒の表にも裏にも、名前は書いていない。


 そのことを不思議に思いながら、あたしはその封筒を開けた。




 そこにはたった一言、

 <放課後、校庭に来いよ>

 と、汚い字で書かれていた。




 ……相馬、くん?


 殴り書きのようなその字は、見覚えがあった。





「………っ」


 五年生になってから、あたしは何故か相馬くんにいじめられるようになった。


 同じクラスになり、最初の席替えで隣の席になってからだ。

 今はもう席が離れているけど、いじめは終わらない。



 最初はただのからかいだと思ってた。


 机をガンガンぶつけてきたり、授業中に開いていた教科書を何度も閉じてきたり。

 なんだかんだ言いながら、あたしはそれほど怒っていなかった。


 ……でも、それは段々酷くなっていって。


 あたしが何かした時、少し失敗するだけで「馬鹿だな」と言われたり、笑われたり。

 発表の時、前に出て緊張してるあたしを大声でからかってきたり。

 そのせいで余計恥ずかしくなって、「逃げ出したい」と何度思っただろうか。


 あたしの気持ちを全く考えてくれていない。