大嫌いなアイツの彼女になりました。







「ほ、ほう……それは積極的で」


「う、うん……どうしたらいいですか?」


「ちょ、ちょっと待って。色々起こり過ぎじゃない?」


 携帯越しのみおの声は、頭の整理がつかないのか上擦っていた。



「そうなんだよ!昨日と今日で一気に起こるようなことじゃないんだよ!だからもう、分かんなくって……」


「そりゃそうなるわ」

 みおから同情の声が降りかかる。


 それだけで、あたしの心は少し救われた。




「デートには、行きたいの?」


「別に行ってもいいんだけど、その人のこと好きじゃないし……」


「無意味な期待させてもねぇ」


「そうなんだよ!気持ち無いのに悪いじゃん?」


 あたしは足をジタバタ動かす。



「ふぅ……まあ、ただ遊ぶだけだと思えば、簡単な話だけどね」


「それって、告白を無かったことにするってこと?」


「いや、そういうわけじゃないけどさ……自分の中にある罪悪感を消す方法だよ。一度デートしてみると、望月相馬のこともその人のことも、ちょっとは整理がつくんじゃない?」


 みおの優しい声が、あたしの心にストンって入ってくる。



「……まあ、純香が決めればいいと思うよ。一度考えてみな。望月相馬と付き合った理由」


「付き合った、理由?」


 それは、復讐するためで……。