大嫌いなアイツの彼女になりました。







「……分かんないから、みおに電話してるんだよ」


「………純香が分からないことを、あたしが分かるとでも?」


「……だよね。あ、もう一つあるんだ」


「ん?何?」


 みおにもいい迷惑だってことは分かっているつもりだ。

 でも……。



「前、あたしの隣の席が望月相馬の友達だって話したこと、覚えてる?」


「え?……ああ、あの怪しい子」


「はは……そう、その子」


 みおの声のトーンが一気に落ちる。

 そんなに、会ったこともない中川くんを嫌いになれるものなのか。




「……まあ、望月相馬の友達だからね、あたしと望月相馬が別れたことも復讐のことも、知ってたの。」


「あー、うん」


「それで……付き合ってって言われました」


「へぇー…………は、はぁ!?」


 携帯越しに、みおの驚いた声が聞こえてくる。


 そりゃそうだよね。ここで驚かない方が可笑しいよ。

 あたしはつい、苦笑いする。



「なんか、あたしのこと好きだったらしい……」


「そ、そうだったんだ……」


「でね、とりあえずデートしてほしいって言われたんだ……」