翌日、あたしは行きたくない気持ちのせいで重くなった足をなんとか動かして、学校に来た。


 あの後、あたしは初めて、授業に遅刻というものをした。

 帰り、望月相馬はもちろん迎えに来なかったため、あたしは一人で家に帰った。




 どんなに振り払っても頭に焼き付いて離れない、望月相馬の悲しそうな表情。

 どんなに考えても分からない、胸の痛み。

 そのせいで、あたしは寝不足だ。



 鞄を机の上に置くと、あたしは大きなため息を吐いた。


「ふふっ、どうしたの?そんなに落ち込んで」

 そのため息は、隣の席で携帯をいじっている中川くんにもばっちり聞こえていたようで。


 中川くんの方を見ると、中川くんはニッコリ笑った。



「……いや、別に」

 まさか、「復讐の為に望月相馬に近づいて、昨日やっと果たすことが出来たのに、何故か悲しいんです」なんて言えるわけがない。


 あたしは再び視線を鞄の方へ向け、中の物を出し始める。

 不思議と、またため息が勝手に出てくる。



 そんなあたしを、中川くんはしばらく見つめた後、

「そんなに相馬と別れたのが悲しいの?」

 と、爆弾発言をしてきた。



「えっ!?」


 何故、中川くんがあたしと望月相馬が別れたのを知っているのか。

 驚いたあたしは、すぐさま中川くんを見る。



 中川くんは、いつも通りの笑顔を作っていた。