「………双葉」
望月相馬の口からその言葉が出てきたのは、これでもう何回目だろう。
あれから、あたしと双葉ちゃんは色んなことで勝負をした。
料理を作ったり、メイクや髪型アレンジをしたり。
全て、あたしの負けだった。
でも、しょうがないと思う。
あたしが下手くそなわけじゃない。
料理もそこそこ出来るし、メイクや髪型アレンジも人並みには出来ると思う。
ただ、双葉ちゃんは格が違った。
料理はプロかって思うほど上手いし、メイクや髪型アレンジも本当に中学生なのか疑ってしまうほど上手だった。
勝敗を決めるのは望月相馬だから、はっきり言って双葉ちゃんの方が望月相馬の好みを知っている。
そういう意味でも、双葉ちゃんの圧勝だったんだ。
「……さて、これで勝負は着いたわね」
双葉ちゃんが満足そうに微笑む。
あたしは俯く。
中学生に負けたのだ。あたしにだってプライドってものがあるから、とても悔しい。
「ま、まあ……仕方ないよ。純香ちゃん」
「……うん」
望月相馬があたしの肩に手を乗せる。
あたしを慰めるように。



