リボンを解き包装紙を丁寧に剥がすと、一冊の絵本が顔を出した。日本の物語を英訳した逆輸入。装丁が宝石みたいに素敵だった。
「――このお話、大好きです」
何処までも遠くへ、ずっと一緒に旅をしようと誓い合うふたりの物語。最後は少し悲しいけど、ずっと想い合ったふたりのお話。
「蔵書には無いものですし。気に入っていただけると、いいのですが」
「こんなに感動してるのに不安にならないでください。大好きだって、私は言ったのに」
なのに、森野さんは心底安堵する。
「――ああ。本当に良かった」
互いに大きく息を吐く。
予想外の出来事に心乱された私は、溢れ出そうになる感情を押し込めるように、力いっぱい絵本を抱きしめた。
俯き、自身を律するのに全身全霊を費やす。
でも、沸騰してしまった内側は思うようには従ってくれない。
……いけない。
泣いてしまいそう……。
頑張っても、堪えても。



