なのに、森野さんは否定をする。それは私自身か、未来で起こるかもかもしれない最悪な私になのか、もう……。
「深町さんを恐れるなんて、あるはずがない」
「だって、言ったことも守れない。望まないって言ったのに、私……本当、浅はかで、恥ずかしい」
私の傷なんて軽かったのに、大怪我だと錯覚して浸ってた。どうせすぐに癒えてしまうのに。
なんて大馬鹿。
なんて愚かな、私たち。
「――そんなこと。だったら、僕も相当浅はかです。今だって情けないことばかりだ」
引き寄せられた。
もう距離なんてものはほんの僅か。
私よりもずっと高いところにある森野さんの顔。そんな近くにあるものだから、恥ずかしくて俯くことしかできない。
「深町さん、顔を上げてください」
なのに、そんな一言で簡単に操られる。
見上げた顔は愛情たっぷりで、眼鏡の奥は潤んでいるみたい。それは錯覚?
「深町さんは僕が嫌いですか? 僕は、深町さんが好きです。深町さんは、まだ想うだけの恋でいいんですか? 僕は嫌だ。――もっと近くがいい。こんなんじゃ、足りない」
「……ずるいです。分かってること言わせるの」
「もっとはっきりと、確信が欲しいんです」
……だって、もうそんなに自信ありげな表情じゃない。私の全部なんてばれてるんでしょう?



