コトノハの園で



――……、


「……なん、で……?」


捕らえられた腕はまだ自由にならない。


「あっ、会いたい理由なんてひとつですっ……」


「だっ……」


いつも最後まで耳を傾けてくれていたのに、今日の森野さんはそれをさせてくれない。否定の言葉は遮られた。


「僕はっ、――僕は、深町さんが好きです」


「っ!! ……」


そんなこと……。


「……直球ですね。でも、それはきっと、卵からかえった雛が……」


「そんなっ!! すりこみだとでもっ? そこまで馬鹿ではありませんっ。……もう僕は忘れられてしまいましたか? あれは、あの時間は、本物だった。けれど、深町さんにはもう過ぎたことになっているのなら……。……僕は、今の、本当のことが知りたい」


とても素直に落胆の色を示してくる……無意識だろうから、ずるい。いつもは大人な態度でかわしてたっていうのに、こんな時だけ。


「そっちこそ馬鹿にしないでっ!! 私がっ、そんなすぐに終われる中途半端な想いだったとでもっ!? 本気だから怖くて、すぐに信じていいのかって、私のどこかが問いかけるの……だって、期待したら、私はずっとそれを信じる。舞い上がる。……いつか、森野さんが間違ってたって後悔しても、私は気づかないふりして最悪な女になるかもしれない。森野さんが恐れる対象になんて、なりたくもないのに」


そんなのは、死んでも御免だ。