「放してっ!! 蹴ってでもやめてもらいますよっ!!」
「ええどうぞっ!! ――けど、絶対に僕は放しません」
「っ」
違う。そんな酷い言葉。
違うのに……。
「……違うんです。こんなことが、言いたかったわけじゃないんです。……こんなに、どう伝えればいいか分からなくなるなんて……」
それは私の心の声だった。けど、森野さんは自分がそうなんだと私に言う。
私もなのに。
でも……
「……そうです。分かってます。僕の勝手だって。……バレンタインのっ、時にも、同じような感じだったんです。たった二週間会えないだけで……でも、勇気もない。不快に思われるのが怖い。なのに、こんなにどうしようもなくなって……」
……同じだとでも言うの? こんなに焦る心の理由が。私と森野さんが。
一度に、こんなに気持ちを出すなんて、きっとあまりないことなんだろう。沢山たくさん呼吸をしながら、早口で。
でも、その姿は私に真実だと感じさせる。
森野さんの眼鏡の奥、瞳の色が強さを増す。
そして――
「僕は、深町さんに会いたくてたまらなかった」



