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まさか、ありえない……
……なんて、私は本当に心底そう思ってた?
いいえ。そんな清廉な人間じゃない。分かってる。
どこかで期待を。
想像……したんだ。
今朝、着ていく服を迷う時間がいつもより長かったことを思い出す。休日しかつけないピアス、しかも、新しいものを鞄に忍ばせた自分が恥ずかしくてたまらない。
「どうして……来てくれなかったんですか?」
問われる。
「……えっ……?」
こんな表情、初めて見る。
まるで、もどかしくてどうしようもなくなったみたいに、森野さんがカウンターに足をかけ突然に飛び越えた。
「っ!?」
眼前に立たれてしまう。
もうその距離は中庭のベンチに座っていた時よりも近づいていて。それなのに、今度は――
――手を、掴まれた。



