コトノハの園で



「――うん。深町さんは、そういう人だと思う。今、は……」


今、彼女の心が何処にあるのかは分からないけれど、『咲かないようにしていた』という言葉は、とても明確に表現されていると思う。


――以前、毎度のことの教授の資料を届けに大学を訪れた際、学内で深町さんをみかけた。


そして僕は身を隠した……声をかける理由も、意気地もなかったから。


深町さんは、図書館や中庭よりもずっと元気で、よく走り、大きな声で笑う、普通の女の人だった。僕が知っていたのはほんの僅か。揺らぎない水面のような人ではない。


「森野君が今望んでいることを、相手も望んでいると、思いはしない? 変わっていくのは、自分だけじゃないでしょ?」


「それは……」


「日常では出来てることじゃない。たとえば、相手に対して嫌悪感を抱いた時、そうなのは自分だけかってちゃんと己に問いかける。相手のせいだけにしないようにって。偉いなあって、アタシ尊敬してる。――あいにく、マイナス面にしか働かないその良い部分。プラスなことには向けられないの?」


そんなこと……。


「……そんなのは、おこがましいって思うの?」


……。


僕は……。