瞬間、声が出ないほどの驚き。
階下の住人にまで確実に響いているであろう大きな足音を立て、伊達さんがテーブルを飛び越え突進してきた。
短い距離はすぐに詰められ――
「っ!?」
――ああ。首根っことはこういうことだったのかと理解をする。場所は胸ぐらに近くなってしまっているけれど、訂正は困難だ。
僕は、伊達さんにネクタイごと首を締め上げられてしまった。
「……っ、だ……」
言葉は遮られる。
「たった、それだけの理由で、森野君は……」
「……」
「アタシや健ちゃんが頷いてくれると思った?」
思っていないです。そう言いたいけれど首が苦しくて声が出ない。
――可能性として、伊達さんの顔色の原因は僕かもしれないと頭をよぎったこともゼロではないけれど……まさか、ここまで怒られるなんて。
にじり寄られ、僕は立てないまま後ずさる。けれど、もうそこは壁際で、身動きはすぐに困難になってしまった。
キッチンの健人に目で助けを求めたけれど、故意にそれを無視しているようで、必要以上に蟹の準備に勤しんでいた。……そういや、解禁していたっけ。このことだったのだろう。
無理だと分かっていてもとりあえず抗議をする。
「だ、伊達さん……」
「バッカじゃないのっ!!」
それはやっぱり、意味を成さなかったけれど。



