けれど……
「……昔の、最低だったあと、もう誰も好きになんてなりたくないって思って。でも、心は変化していって。恋愛を、やっぱり僕は肯定して、いいなって思えるようになった時、決めたんだ」
あれが中途半端な想いだったとは言わない。けれど――
「――今度は、自分から好きになった人に、ちゃんと伝えようって」
ずっと、思ってきてしまったことは、そう簡単には崩れなかった。
「そそそそれはっ、あの子が原因っ!? 告白されて好きになって付き合ってあんなことになったからっ? 菜々ちゃんも、向こうが先、だから……?」
伊達さんの声は震えていて、見ると顔色もすぐれなかった。
「伊達さん、平気?」
隣にいる大切な人が苦しそうだというのに、健人は全く気にしていない。
「健人っ。伊達さん調子悪いみたいだから寝かせたほうがいいと思う。僕の心配より自分じゃないか」
「……透」
「僕はもう帰るからさ」
「いや。千花は大丈夫だから。ところで透。わずらっているのは恋だけか?」
「はっ?」
今、こんな時に健人は何を言い出すのだろう。



