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「透、あんときは悩んでるだけだったよな。菜々ちゃんがいなくなって、やっと気付いた?」
「……深町さんと言えよ」
「バカだね、森野君。卒業前までに分かってれば、今こんなにうじうじしてなくてすんだのに」
「伊達さんまで……」
阿呆の次は馬鹿か。
なんてしっくりくるのだろう。
けれど――
「――何も、変わらないよ。いつ気付いたって、僕は深町さんに言うつもりなかったから」
全ての考えを、心を、健人たちに吐露していたわけじゃない。悩むことは相談させてもらっていたけれど、決めていたことに関しては何も。
ああ。もしここで、彼女の卒業前から分かっていたなどと漏らしたら、どんなに憤慨させてしまうことだろうか。……恐ろしすぎるから、これは秘密にしておこう。
僕だけの大切なものにしておこう。
「……透は、中途半端に腹くくったんだな。気持ちは認めて……、それは進歩かもしれんが、そこで終わりか。ある意味幸せだけど、オマエが目指すとことは矛盾してるよな」
「……」
眉を寄せられ、言われてしまった。
けれど、責められるのは当然だ。
「エエッ!? なんでそれが幸せなのよっ!! 好きって認めて相手もそうでなんでそうなるのっ?」
それは、
そうなのかもしれないとも、思う。



