ベッドの近くに蓄力石が置かれてけっこうな明るさで照らしている。シン様は上体を起こしてベッドの上にいるようだった。
こちらに顔を向けるシン様の赤い目が少し距離があっても光にあたって見える。
いつもは温かく感じる眼差しが今は冷たく尖っているように思えて足が震える。
「それ以上近づくな! 早く――……っ!」
拒絶を示したシン様が急に背中を丸めるようにして苦しげな様子を見せた。
その姿を見た瞬間シン様の言葉は頭から吹き飛んでしまい、私は急いで駆け寄った。
「シン様っ! ――……っ!」
駆け寄った私と私に気づいたシン様が目を見開いたのはほぼ同時。
シン様は左半身の肌が白い鱗に覆われていた。
突然のことに言葉が出ない私を見たシン様は勢いよく布団をかぶり姿を隠してしまう。その時に一瞬見えた左目は瞳孔が縦に細長いものでまるで半身が初代様のよう。
「シン様……」
「どうしてきたんだ……! 君には知られたくなかったのに――!」
叫ぶ声は震えを含んでいて、どんな言葉をかけたらいいのか迷ってしまう。
まさかシン様がその姿を隠しているとは知らず、会いたいという軽い気持ちだけで訪ねたことを後悔してしまった。
「満月の夜僕はこんな姿になってしまう……。何代も前からこの姿になる人はいないというのに――」
「シン様……」
布団をかぶりながら小声で言うシン様に布団ごしに触れようとすると「触らないでくれ!」と厳しい声が返ってくる。
「同情なんていらない。どうせ君も罵るんだろう? 異形の化け物だと――!」
「な……っ!」
シン様の心ない言葉にカッとなる。体が熱を持って視界が歪み、私は感情のままシン様がかぶる布団を勢いよく引き剥がした。
「そのようなことを言わないで下さい! 私はまだ何も言ってません!」
具合が悪く取り乱している様子は気がかりだけど爆発した感情は止まらない。
「確かに驚きました。でもそれはシン様がその姿になることを知らなかったからです! 突然姿が違ったら誰だって驚きます……!」
叫ぶように言うとシン様が勢いよく起き上がって私を鋭く睨みつける。
「それじゃあ君はこの姿を見てどう思った? 半身鱗で覆われて片目だけ瞳孔が細長いこの姿を……!」

